平成15年度 都内環境中のダイオキシン類調査結果について

平成16年7月9日

環境局

大気・地下水・土壌：　環境改善部有害化学物質対策課　

電話：03-5388-3580

公共用水域　：　自然環境部水環境課

電話：03-5388-3569

東京都は、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、都内の大気、公共用水域（水質及び底質）、地下水及び土壌についてダイオキシン類の汚染状況を調査しています。
このたび、平成15年度の調査結果を取りまとめましたのでお知らせします。

15年度の調査結果の概要は次のとおりです。

（注1）　pg（ピコグラム）は1兆分の1g。1pg/Lは、およそ東京ドーム1杯の水に1辺が1mmのザラメを溶かしたときの砂糖の濃度。

（注2）　TEQは検出されたダイオキシン類の量を一番毒性の強いダイオキシンの量に換算した値。

（注3）　濃度範囲は、最小値〜中央値〜最大値の順に記載。

（注4）　底質の環境基準は、平成14年9月施行。

(1) 大気、地下水、土壌については、すべての地点で環境基準を下回りました。

ア　大気については、すべての地点で環境基準の1／4以下の濃度になりました（図1）。

イ　地下水及び土壌については、すべての地点で環境基準の1／10以下の濃度になりました。

(2) 公共用水域については、水質が2地点で、底質は1地点で環境基準を上回りました。

ア　水質は中川（平井小橋：葛飾区）で2.0 pg-TEQ/L、新中川（小岩大橋：江戸川区)で1.5pg-TEQ/L となり、環境基準を上回りました。その後の追跡調査では環境基準値以下でした。

イ　底質は昨年も環境基準を超過した横十間川(天神橋：江東区・墨田区）で410pg-TEQ/gとなり、引き続き環境基準を上回りました。

底質中のダイオキシン類濃度が環境基準を超えている横十間川の天神橋付近については、現在、学識経験者、国、都、地元区で構成する「横十間川底質関連対策検討会」において汚染された底質の処理方法等を検討しています。

（注1）　環境基準は平成12年1月15日から適用。
（注2）　最大値は継続して実施している20地点の年平均値のうち最大のもの。
（注3）　平均値は20地点の（年平均値の）平均濃度。
（注4）　最小値は継続して実施している20地点の年平均値のうち最小のもの。

図-1環境大気（エクセル：232KB） 図-2公共用水域（エクセル：232KB） 図-3地下水（エクセル：232KB） 図-4土壌（エクセル：232KB）

ダイオキシン類（ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン及びコプラナーPCB）を対象としました。

調査方法については、調査対象毎に環境省のマニュアル等に準拠しました。（採取方法は表9参照）

(1) 環境基準の適合状況
環境基準（年平均値0.6pg-TEQ/m3）以下）と比較すると、全地点で環境基準に適合しました。

(2) 濃度範囲
ダイオキシン類濃度は、各月0.012〜1.2pg-TEQ/m3の範囲にあり、地点ごとの年平均値の範囲は0.018〜0.14 pg-TEQ/m3、平均値は0.067pg-TEQ/m3と環境基準のほぼ10分に1なりました。14年度（各月の濃度範囲は0.013〜0.39pg-TEQ/m3、年平均値の範囲は0.032〜0.17pg-TEQ/m3、平均値は0.12pg-TEQ/m3）に比べると多くの地点で濃度が大幅に減少しています。
最高濃度は1.2 pg-TEQ/m3（5月町田市能ヶ谷局）と環境基準値を超える濃度を測定しましたがこの地点の年度平均値は0.14 pg-TEQ/m3と環境基準の4分の1となっています。

(3) 過去の調査との比較（図1，2参照）
調査を開始した9年度から発生源規制の効果により経年的に濃度レベルが下がってきました。

(1) 水質

ア 環境基準の適合状況
環境基準（年平均値1pg-TEQ/L以下）と比較すると、中川（平井小橋2.0pg-TEQ/L)と新中川(小岩大橋1.5pg-TEQ/L)で環境基準を上回りました。新中川(小岩大橋）は前年(1.5pg-TEQ/L)に引き続き環境基準を上回りました。

イ 濃度範囲
河川、海域のそれぞれのダイオキシン類濃度は0.067〜2.0pg-TEQ/L、0.083〜0.24pg-TEQ/Lの範囲にあり、それぞれの平均値は0.34pg-TEQ/L、0.12pg-TEQ/L、湖沼は0.070pg-TEQ/Lで、河川の濃度が一番高くなっています。環境基準を超えた中川（平井小橋）、新中川(小岩大橋）)の2地点は、いずれも夏期の調査時だけが環境基準値を超えました。

15年度の調査結果は10年度から14年度の、全国調査結果（0.010〜48pg-TEQ/L）の範囲内でした。

(2) 底質

ア 環境基準の適合状況
環境基準（150pg-TEQ/g以下）と比較すると、横十間川(天神橋410pg-TEQ/g)で前年(300pg-TEQ/g)に引き続き環境基準を上回りました。

イ 濃度範囲
河川、海域のそれぞれのダイオキシン類濃度は、0.23〜410pg-TEQ/g、6.0〜37pg-TEQ/gの範囲にあり、それぞれの平均値は23pg-TEQ/g、24pg-TEQ/g、湖沼は9.8pg-TEQ/gでした。

都の調査結果は10年度から14年度の全国調査結果（0.10〜1400pg-TEQ/g）の範囲内でした。

底質の環境基準については、平成14年9月に施行されました。

(3) 追跡調査

15年度夏期の調査で水質の環境基準値を超えた旧江戸川（浦安橋）、中川（平井小橋）、新中川(小岩大橋）、隅田川（小台橋）で追跡調査を行いました。

水質調査で環境基準値を超えたのは底泥の巻き上げが原因と考えられます。

なお、底質の環境基準値を超えた横十間川（天神橋）については15年度に、横十間川汚染範囲確定調査（6-3参照）等を行っており、追跡調査は行いません。

(1) 環境基準の適合状況
環境基準（年平均値1pg-TEQ/L以下）と比較すると全地点で環境基準に適合しました。地下水については、濃度変化がほとんどないことから年1回の調査結果で環境基準の適否を判断しています。

(2) 濃度範囲
ダイオキシン類濃度は0.065〜0.073pg-TEQ/Lの範囲にあり、平均値は0.067pg-TEQ/Lでした。14年度の全国調査結果（濃度範囲0.011〜2.0pg-TEQ/L、平均0.066pg-TEQ/L）と比べほぼ同程度の濃度でした。なお、TEQの算出方法は、法律で定まっており、ダイオキシン類が検出されない場合でも、検出下限値の半分の濃度があるとみなしてTEQ濃度を算出します。（今回の都地下水調査では0.065pg-TEQ/Lとなります。）

(1) 環境基準の適合状況
環境基準（1000pg-TEQ/g以下）及び調査指標値（250pg-TEQ/g：この値を超えた場合は、詳細調査を行う。）と比較すると、全地点でこれらの値を下回りました。

(2) 濃度範囲
ダイオキシン類濃度は、0.075〜91pg-TEQ/gの範囲にあり、調査地点の平均値は15pg-TEQ/gでした。

14年度の全国調査結果（一般環境把握結果：濃度範囲0〜250pg-TEQ/g、平均3.4pg-TEQ/g、9割以上の地点が10pg-TEQ/g以下）と比べると、都内の状況は高いレベルとなっていますが、環境基準の1／10以下です。

ダイオキシン類の測定結果の信頼性を確保するため、東京都環境科学研究所分析研究部と連携して各委託調査機関に対し立入検査及びクロスチェック等を行い問題のないことを確認しています。

表5大気調査結果（エクセル：1,005KB） 図4大気調査時の風向（エクセル：611KB） 図5大気調査時の風速（エクセル：811KB）
表6-1公共用水域調査結果（エクセル：159KB） 表6-2公共用水域追跡調査結果（エクセル：38KB）
表6-3横十間川汚染範囲確定調査結果（エクセル：172KB）
表7 地下水調査結果（エクセル：24KB）
表8 土壌調査結果（エクセル：97KB）
表9 調査方法等（エクセル：30KB）