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更新日:2018年2月9日
石原都知事の所信表明
東京都議会第3回定例会(平成14年9月18日)における発言
自動車工業会との会議の席上、ペットボトルをふる知事
大気汚染に対する認識と今後の取組み
モータリゼーション社会の悪しき副産物である公害に対しては、時代認識、将来展望を持ち得なかったため、未解決の問題が、数多く残されております。先ずこの点について、東京都を含め、関係者は、謙虚に反省すべきであります。
とりわけ国は、環境問題の最終的な責任者でありながら、必要な策を講じることができず、そのため、大気汚染が、ここまで拡大いたしました。不作為に対する国の責任は、極めて重大であります。しかも、ディーゼル車に対する規制を強化するNOx・PM法の適用開始を、一旦決めた後また大幅に遅らせるなど、この問題を真剣に解決しようとする姿勢が、未だに感じられません。ディーゼル車の排気ガスが、肺がんの原因となっていることについては、これまで度々訴えてきましたが、アメリカ政府からも、先般、公式見解として、同様の指摘*1をいたしました。
国の無責任な延期により、東京都の規制対象となるディーゼル車は、9万台から20万台へと、にわかに2倍以上に 膨らむことになります。しかし、都民、国民の生命と健康を守るため、東京都は、当初の予定を変えることなく、来年10月から、基準を満たさないディーゼル車の走行を規制いたします。規制を効果的かつ円滑に実施するには、これからの1年間、周到な準備が不可欠であり、全庁的な連携体制の下、本日より「 違反ディーゼル車一掃作戦 」を開始いたします。
何よりも必要なことは、使用者の理解と協力であり、自動車Gメンが、4千社の企業に直接立ち入り、内容の周知や協力の要請、指導等を行ってまいります。そのほか、自動車会社や装置メーカーには、新しい基準に合った自動車や装置の供給を拡大することを要請し、同時に、使用者への支援も充実していきたいと思います。都庁は、都内最大の荷主としても、配送や工事の現場から違反ディーゼル車を排除し、さらに、他の事業主へも、違反した車を使わないように働きかけることで、作戦の実効性を高めたいと考えております。
来年からの規制に先立ち、都内一部のガソリンスタンドでは、今月より、従来の軽油に替えて、排気ガスの軽減に 効果の高い低硫黄軽油の供給を開始いたしました。既に140を超えるスタンドで供給が始まっており、来年の4月までには、首都圏全域の軽油が低硫黄軽油となる予定であります。東京都の取組みを理解し、迅速に協力していただいた石油連盟の皆様には、改めて感謝を申し上げます。しかし、これはあくまでも通過点でありまして、石油連盟には、本日、次の措置として、あくまでも全国で速やかに低硫黄軽油を供給するよう要請いたしました。*2
違反したディーゼル車をなくし、大気汚染を軽減するため、七都県市での連携も強めながら、様々な施策を展開していきたいと考えております。
ところで来月には、大気汚染公害訴訟に対する第一審の判決が予定されております。この裁判は、一種の文明批判であり、真摯に受け止める必要がありますが、文明社会の中で生きる我々にとって、裁判を超えて必要なことは、自動車や道路がもたらす功罪に等しく目を向けることであります。東京都は、実行すべきことは速やかに実行し、また、主張すべきことは声を大にして主張することで、今後とも、都民、国民に対する責任を果たしていきたいと思います。
*1 U.S. Environmental Protection Agency "HEALTH ASSESSMENT DOCUMENT FOR DIESEL EXHAUST"
*2 平成14年9月25日、石油連盟加盟各社は、国の規制(2004年末)より1年9ヶ月前倒しとなる来年(2003年)4月より、硫黄分含有50ppmの低硫黄軽油を全国に向けて供給開始することを表明しました。
発表内容 → 2003年4月以降の50ppm軽油の全国供給開始について (石油連盟公式サイトより)
石原知事の所信表明(全文)は、東京都庁のウェブサイトでご覧いただきます。「知事の部屋〜石原知事発言集」(外部サイト)
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