東京都環境基本計画
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000地3.8%3.7%2.6%42.9%53.0%3.9%3.4%2.6%42.6%52.5%-0.55.6%1.0%4.5%13.3%24.5%5.7%0.9%4.5%13.0%24.2%-0.32.8%5.1%1.5%59.0%68.4%2.9%4.7%1.5%58.7%67.8%-0.6 そして、希少野生動植物の生息・生育環境の改変、個体の過剰採取・盗掘などは現在も続いている。 都が2021年に公表した「東京都の保護上重要な野生生物種-東京都レッドリスト(本土部)2020年版-」では、都内本土部において、過去20年間でレッドリスト掲載種が約4割増加している。また、直近の10年間で、植物や昆虫を中心に新たに80種が絶滅種に加わった。区分エリアみどり率(用途別)農用地水面・河川・水路公園・緑調査年2013年参考値2018年2013年-2018年変化2013年参考値2018年2013年-2018年変化2013年参考値2018年2013年-2018年変化1,579種1,303種1998年2010年樹林・原野・草地みどり率合計1,845種2020年[東京のみどり率の推移][本土部レッドリスト掲載種数の推移]都全域区部多摩部0.10.10.1-0.3-0.3-0.1-0.3-0.4-0.3089企業活動にも影響を与える生物多様性 金融界や民間企業においても、サプライチェーンを含めた生物多様性への配慮や回復を目指す動きが求められている。環境に負荷を与える企業は将来的に持続可能ではないという判断から投資が控えられ、持続可能な調達など環境に配慮する企業に投資が流れる傾向にある。 2021年6月には、国連開発計画(UNDP)など4機関が、企業による自然への依存度や影響を把握し開示する仕組みをつくる「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosure、 TNFD)」を立ち上げるなど、企業の自然資本に関する情報開示の取組が進んでいる。また、既に気候変動に関するSBTの設定等は進みつつあるが、自然に焦点を置いたSBTs for Nature(Science Based Targets for Nature)※1について、設定手法の開発が進められており、2022年にはガイダンスが一般公開される予定である。※1 バリューチェーン上の水・生物多様性・土地・海洋が相互に関連するシステムに関して、企業等が地球の限界内で、社会の持続可能性目標に沿って行動できるようにする、利用可能な最善の科学に基づく、測定可能で行動可能な期限付きの目標直接的な要因■ 第1の危機(開発など人間活動による影響) 第1の危機とは、開発や乱獲、過剰利用による生きものの生息・生育地の減少、種の減少・絶滅のことをいう。開発による森林伐採、水田・畑地などの農地の減少、干潟・浅場の減少などは、東京の生物多様性に大きな影響を及ぼしてきた。 都は、区市町村と連携した公園や緑地の整備、農地や自然地の保全、民間の都市開発等におけるみどりの創出等、あらゆる機会を通じてみどりの量的な底上げと質の向上を図り、都内全体のみどりを増やす取組を推進している。2018年のみどり率は、前回調査(2013年)と比較して、「公園・緑地」で0.1ポイント増加したものの、全体では0.5ポイント減となり、長期的な減少傾向は継続している。東京の生物多様性が抱える課題 生物多様性は、開発や気候変動などの4つの危機(直接要因)と、その背後にある社会経済状況(間接要因)の影響により、劣化が進んでいる。■ 第2の危機(自然に対する働きかけの縮小による影響) 第2の危機とは、自然に対する働きかけの減少により自然の質が低下することをいう。例えば、雑木林の管理放棄が進み、落葉樹林がうっそうとした常緑樹林に置き換わることで、明るい林床を好む植物や昆虫類が減少している。また、狩猟者の減少等により野生動物が増加し、農作物や樹木の食害などがみられる。 特にニホンジカによって、樹木、高山植物等が過剰に食べられることで、希少な高山植物の減少、生きものの生息・生育環境の劣化、土砂災害緩和機能の低下等の深刻な問題が生じている。都は、市町村と連携してニホンジカの対策を進めているものの、シカの分布域は東や南へと拡大し、生息数は横ばい傾向にある。都は、2022年3月に東京都第二種シカ管理計画を改定し、更なる対策を進めている。

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