002環境基本計画の策定策定の背景 都は、2016年3月に策定した環境基本計画の下、「世界一の環境先進都市・東京」の実現を目指し、幅広く環境施策に取り組んできた。 計画策定から6年、持続可能な社会の実現に対する関心が世界的に高まる中で、気候危機の一層の深刻化、生物多様性の損失、水・大気環境の変化など、環境を取り巻く状況は世界規模で大きな課題となっている。また、国連の推計によると、2030年までに世界の人口は85億人、2050年には97億人に増加し、世界人口のほとんどの増加は都市地域で発生すると予測されている。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に加え、ウクライナ・ロシア情勢による資源やエネルギーへの影響等、未曽有の危機の最中にある。 欧州を中心に、気候危機への対処を図りながら、コロナ禍からの「より良い復興」を目指す「グリーン・リカバリー」の流れが生まれている。都は、持続可能な生活を実現する観点にまで広げた「サステナブル・リカバリー(持続可能な回復)」を進めている。グリーンかつレジリエントな「ゼロエミッション東京」を実現し、50年、100年先も、自然との共生や質の高い大気環境など、豊かさにあふれる持続可能な都市をつくるため、まさに今、行動を起こさなければならない。 都は、世界の主要都市の一員として、世界の、そして東京の未来を切り拓くため、都の環境施策を更に大胆に加速する、新たな環境基本計画を策定することとした。策定に当たって必要な視点 都が、多様化・複雑化した環境課題を解決していくためには、都民、企業、団体などの共感を得ながら、力を合わせて行動していくことが必要である。 世界で気候危機等が一層深刻化し、脱炭素化の潮流が広がる中、2050年のCO2排出実質ゼロ、2030年までのカーボンハーフ※実現は、決して遠い将来ではなく、我々に残された猶予はない。住宅の断熱化や省エネ性能の高い機械設備の導入、再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)の積極的な活用など、都民や事業者等それぞれの身近な取組を一つ一つ積み重ねることなくして、直面する危機を克服することはできない。 世界最大の都市であった江戸では、衣食住のあらゆる場面でリサイクル・リユースが行われ、自然と調和した豊かな街が育まれてきた。 未来に向けても、環境課題を「自分事」として捉え、東京の総力を結集して取組を加速していく。 ※ 2030年までに都内温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)すること。計画の位置づけ 本計画は、東京都環境基本条例(平成6年東京都条例第92号)第9条第1項に規定する計画及び地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)第21条第3項に規定する「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)」に規定する計画として策定するものです。 また、本計画に記載の施策は、都政の羅針盤である「『未来の東京』戦略」(2021年3月策定)の推進を図るものです。第1部 新たな東京都環境基本計画の策定にあたって
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