[世界の水素生産量(2020年)]世界の水素生産量(2020年)副生水素 21%石炭 19%石油 0.6%90MtH2天然ガス+CCUS 0.7%出典: IEA, Global Hydrogen Review 2021より東京都作成天然ガス 59%056現 状 水素エネルギーは、利用の段階でCO2を排出しないなど多くの優れた特性を持つ。また、水素は、大規模・長期間の貯蔵が可能なことから、季節や天候で発電量が変動する再エネの大量導入を調整力として支えることができ、脱炭素社会の実現の柱となる有望なエネルギーである。昨今の国際情勢や自然災害の頻発により、エネルギーの安定供給が危ぶまれる中、水素は多様な資源からの製造が可能なことから、調達先を多様化することができ、エネルギーの安全保障やレジリエンスの向上にも寄与する。産業と人口が集積し、エネルギーを大量に消費する東京において、気候危機への対応とエネルギー安定供給の両面から重要な「切り札」となる水素エネルギーの社会実装化を加速させ、世界をリードしていく。水素エネルギーをめぐる国内外の動き 現在、世界の主要国で国家戦略が策定されるなど、カーボンニュートラル実現の鍵となる水素の導入拡大に向けた取組が進んでいる。 日本は水素関連技術の複数分野で技術的に先行しており、水素は将来的に国際競争力のある産業になることが期待される。国は、2017年12月に世界で初めて水素基本戦略を策定した。また、2021年10月に策定した第6次エネルギー基本計画では、2030年度の電源構成に水素・アンモニアを初めて盛り込むなど、水素の社会実装を加速するとしている。 EUでは、欧州委員会が2020年7月に「欧州の気候中立に向けた水素戦略」を発表し、再エネ由来の水素活用の推進を明確にした。同戦略が発表されて以降、EU加盟国や英国で相次いで水素戦略が策定されており、再エネ由来の水素や燃料電池鉄道車両などを導入拡大する動きが活発化している。 米国のカリフォルニア州では、新車販売の一定割合をZEVとする規制の下、燃料電池自動車(乗用車)(FCV)の導入が進展している。■水素の種類・グリーン水素:再エネ由来の電力を利用して電気分解して生成される水素・ブルー水素:化石燃料を原料とするが、製造過程で発生するCO2を回収・貯留(CCS)することで大気中にCO2を放出しない水素・グレー水素:天然ガスや石油などの化石燃料を原料として製造される水素水素の種類 水素は、製造過程や原料の違いにより色で表現されることがある。現在製造されている水素の多くは、製造コスト等の理由から、化石燃料由来のグレー水素が占めているが、再エネを利用することにより、水素の製造段階においてもCO2を排出しないグリーン水素の需給拡大を目指していく必要がある。水素エネルギーの普及拡大
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