東 京[都市の活動による環境負荷のイメージ]Stockholm Resilience Centre作成の図を基に作成011セメント製造金属精錬資源採取農業生産 等CO2発生CO2発生CO2発生第3層 経済第2層 社会第1層 環境生産電気発電都外資源・製品・農産物都外焼却熱帯林減少CO2の放出リサイクル・最終処分生物多様性の減少 等燃料の消費廃棄物焼却廃棄物都外CO2発生東京都内の都市活動CO2発生消費・生産のあり方の変革の必要性 環境課題の解決を図る上では、「消費と生産」のあり方が重要である。消費・生産の各過程において、温室効果ガスの排出、資源の乱獲、廃棄物の増加、大気汚染等、地球環境に負荷を与える懸念がある。欧州連合共同研究センターなどの調査によると、食料システムは温室効果ガス排出量の最大3分の1、生物多様性の喪失の最大80%、淡水使用量の最大70%に寄与していると報告されている。2021年9月に開催された国連食料システムサミットでも、食料システムをより持続可能で強靭なものへと変革する必要性が指摘されている。 また、令和2年版環境・循環型社会・生物多様性白書によると、日本の温室効果ガス排出量を消費ベース(カーボンフットプリント)で見ると、全体の約6割が家計によるもので、そのうち、12%が食によるものと報告されている。 サプライチェーンのグローバル化等により、ある地域の経済活動(消費活動)が、遠隔地の土地利用や自然環境に与える影響(テレカップリング)が無視できない規模となっている。より環境負荷の少ない消費行動の選択などを通じて、脱炭素型のライフスタイルに転換していくことが求められている。 社会経済情勢の変化や、情報化、国際化の加速、コロナ禍等により、消費と生産を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者の商品・サービス等への趣向も多様化し、量よりも質や社会的背景・影響を重視する考えも広がりつつある。 大都市東京は、多量の資源・自然資本を域外(国内外)に依存している。域外で生産されてから、都内に運搬され消費される資源の量は膨大で、その量は年間1億t前後になるとの推計もある。都民や事業者等のあらゆる主体が、エネルギーや資源等の大量消費を前提とした生活や事業活動を持続可能なものへ変革し、都内で生じる環境負荷のみならず、都内の活動に伴い都外(国内外)で生じる環境負荷の削減に貢献していくことが求められている。持続可能な地球環境の実現は、明るい未来の絶対条件 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」では、世界の持続可能な発展に向けて17の目標が掲げられている。この目標の関係を示す概念図である「SDGs ウェディングケーキモデル」では、各目標が「環境」「社会」「経済」の3層に分けられている。「環境」が全ての土台となり、その上に「社会」「経済」が成り立っていること、そして、それぞれの目標が関連しており、一つの課題解決の行動により、複数の課題解決を目指す必要があることが示されている。また、同時に、気候変動や生物多様性の劣化が、他の分野における目標達成を妨げる懸念があることを示唆している。 我々人類・生物の生きる基盤を守り、持続可能でより良い社会を実現していくためには、地球環境の危機を乗り越えるための抜本的な対策を講じ、社会経済構造を変革していくことが求められている。
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