[気候変動緩和策による生物多様性保全策への影響][生物多様性保全策による気候変動緩和策への影響]※ 青色の線は正の影響(相乗効果)、オレンジ色の線は悪影響(トレードオフ)を表す。ここに示す対策には未だ試験的又は構想段階のものも含まれ、従って今後の展開によって相互作用は変化する可能性がある(出典)生物多様性と気候変動 IPBES-IPCC 合同ワークショップ報告書:IGES による翻訳と解説(2021年9月:IGES) 010 とりわけ、気候変動と生物多様性は、密接に連関している。気温上昇や干ばつ、豪雨による水害等が生物多様性損失の要因となっている。植物による二酸化炭素の吸収や、雨水浸透による大雨被害の軽減など、生物多様性は気候変動の緩和と適応にも貢献する。 気候変動緩和・適応策と生物多様性保全策については、下図のとおり相互に連関しているとの報告がある。 また、自然が有する機能を持続的に利用することで、多様な社会課題の解決策につなげる取組(NbS(Nature-based Solutions:自然を活用した解決策※2))も非常に重要である。こうした取組は、気候変動や自然災害だけでなく、生活の豊かさや健康、地域づくりなど幅広い分野にメリットをもたらす。 直面する環境課題を解決していくためには、こうした相互の連関を考慮しながら、総合的・一体的に取り組んでいくことが求められている。※2 IUCN(国際自然保護連合)により、「社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福及び生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、再生のための行動」と定義されている。
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