東京都環境基本計画
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人口01800絶滅種数(種)50,000世界人口絶滅種40,00030,00020,00010,0001850[世界人口の増加と種の絶滅危機]190019502000(年)(億人)70605040302010※1 走行時*にCO2等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)のこと。 *PHVはEVモードによる走行時Scott,J.M. (2008), Threats to Biological Diversity: Global,Continental, Local. U.S. Geological Survey, Idaho Cooperative Fish and Wildlife Research Unit, University of Idaho. を基に作成009生物多様性の損失 現代は、生命が地球に誕生して以来、主に人間活動による影響で、生きものが最も速く絶滅している時代「第6の大量絶滅時代」と言われている。種の絶滅だけでなく、生物資源を生み出す源となる生態系の劣化が急速に進んでいる。 これらは、人間による開発や乱獲、気候変動等の直接的な要因のほか、その背後にある産業構造の変化や消費と生産、更にその根底にある人々の価値観や行動様式等が複雑に絡み合って起きている。世界人口が増加する中で、社会システムやライフスタイルの変革なしでは、将来、私たちの暮らしを支える生物多様性の恵みを受けられなくなることが懸念されている。 2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、生物多様性の普及啓発、過剰漁獲の抑制、保護地域の確保、生態系サービスの強化、人材・資金など20の2020年目標が定められた。しかし、2020年9月に公表された地球規模生物多様性概況第5版では、完全に達成できた目標はないという厳しい結果が示されている。新たな世界目標である「ポスト2020生物多様性枠組」の採択に向け、国際的な議論が進行しており、2021年10 月に中国・昆明市にて開催された第15 回締約国会議(COP15)第1部では、2030年までに生物多様性を回復への道筋に乗せることなどを強調した昆明宣言が採択されている。 既に人類・生物の生きる基盤である地球は限界に近づいており、私たちに残された猶予はない。社会全体で持続可能な地球環境を実現するために行動していくことが求められている。良質な都市環境を追求し続ける必要性 東京は、高度経済成長期における急速な工業化、自動車の大量普及などにより引き起こされた大気や水、土壌の汚染等の深刻な環境問題を、都民、企業、団体等と共に様々な先駆的な取組を進めることで、大きく改善してきた。 一方で、光化学オキシダントやPM2.5などの環境課題の解決には、更なる取組が必要であり、最新の知見に基づく新たな環境リスクの顕在化等も想定される。大気汚染物質等は越境移動なども考慮が必要であり、域内の対応のみでの解決は困難である。 都民の健康と安全を守り、持続可能な都市をつくるためには、広域的な視点を持ち、質の高い都市環境を追求し続けることが求められている。各分野の相互連関、統合的な対策の必要性 環境施策の各分野においては、シナジーやトレードオフなどの相互連関が見られる。 大気汚染物質を削減する取組の多くは、同時にCO2の排出削減効果があり、気候変動対策につながる。また、大気汚染物質のうち、光化学オキシダントの主成分であるオゾンやPM2.5中のすす(ブラックカーボン)の削減は気候変動回避と大気環境改善の双方に効果があるとして、国際的な機関においても注目されている。二酸化炭素を排出しないゼロエミッション車(ZEV※1)の導入やみどりの保全・創出は、大気環境の改善にもつながる。 また、光化学オキシダントは都民の健康と安全を脅かすだけでなく植物の生育に悪影響を及ぼすことや、化学物質の自然界への放出が生態系に影響することもあることなどから、大気・水・土壌環境の向上等による良質な都市環境の実現は、生物多様性の回復にも貢献する。このように、各分野における対策は相互に連関している。

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