東京都環境基本計画
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1.気候変動/環境破壊2.戦争/紛争3.不平等(所得、差別)[ミレニアル世代が重視する世界の深刻な問題]30.8%100548.8%38.9%40152025303550(%)世界経済フォーラム「グローバル・シェイパーズ・アニュアル・サーベイ2017」を基に作成45005済的な豊かさと比較して幸福を実感しづらい状況にあるとの指摘もある。こうした中、我が国においても、Well-beingに関する関係府省庁連絡会議が設置され、取組推進に向けて情報共有・連携強化・優良事例の横展開などに取り組んでいる。国の様々な基本計画にWell-beingに関連する重要業績評価指標(KPI)が盛り込まれるなど、幸福感を感じられる社会の形成に向けた取組が進みつつある。ミレニアル世代とZ世代など若者の環境問題への意識 地球規模の環境・社会問題に対する人々、とりわけ若者たちの向き合い方も変わりつつある。世界経済フォーラムが186カ国約31,500人のミレニアル世代(18-35歳)を対象に行った調査によれば、「世界全体に影響している最も深刻な問題は何か」の質問に対し、最も多い約49%が「気候変動/環境破壊」と回答している。 若者たちは、気候変動や環境破壊の深刻な影響を自分たちの将来に対する現実的な危機として真剣に受け止めている。特に、デジタルネイティブとも呼ばれるZ世代の若者たちは、オンラインプラットフォームやソーシャルメディアを通じて、瞬く間に世界中の若者と危機意識を共有し、国連や気候変動枠組条約締約国会議(COP)でのスピーチ、気候ストライキの実施など積極的な行動により、世界に大きなうねりを引き起こしている。コロナ禍からのグリーン・リカバリー コロナ禍からの経済復興策として、「グリーン・リカバリー」が世界中で広がりを見せている。欧州委員会は、2020年5月、コロナ禍の打撃を受けたEU加盟国の支援のため、7,500億ユーロの復興基金「次世代EU」を設立することを発表した。これには「2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロ、2030年に1990年比で50~55%削減」という、パリ協定に沿った目標の引き上げが組み込まれた。 また、米国においても、バイデン大統領が気候変動対策を政権の看板政策に掲げ、就任初日の2021年1月20日にパリ協定への再参加を表明し、2050年までのカーボンニュートラルに向けて政権全体で対策に取り組むと発表するなど、前政権からの政策方針を180度転換させた。 国際エネルギー機関(IEA)の報告書「Sustainable Recovery:持続可能なリカバリー(経済復興)」によれば、持続可能性を重視した施策に集中投資することで、900万人規模の新規雇用の創出と同時に、温室効果ガスの排出を45億t-CO2削減することが可能であり、その効果として世界のGDP成長率を平均1.1%増加させる可能性がある。 こうした潮流を的確に捉え、新たな成長分野(グリーントランスフォーメーション・デジタルトランスフォーメーション等)も活用することで、持続可能な社会を実現する「サステナブル・リカバリー」の実現に向けた動きを加速することが求められる。不透明感を増す世界情勢 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、国民生活や経済活動へ甚大な影響が生じている。 ウクライナとロシアはエネルギー、化石燃料、鉱物資源、穀物の供給国として、世界経済における重要な役割を担っている。以前から上昇傾向にあった原油や天然ガス等の化石燃料、小麦・トウモロコシなどの食料や主要金属の価格は、ロシアの侵攻を契機に急激に上昇している。こうした一次産品の価格上昇が所得価値を低下させ、家庭生活を圧迫するほか、半導体等の原料不足や価格高騰により事業活動にも大きな影響を与えることなどが懸念されている。

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