[多摩地域の豊かな森林]0962030年目標施策の方向性●Tokyo-NbSアクションの推進 ~自然に支えられる都市東京~ 自然を活用した様々な解決策(NbS)となる取組が、行政・事業者・民間団体などの各主体において推進されている 森林や緑地などの自然環境は、生きものの生息・生育環境であるだけでなく、土砂災害の防止や水源のかん養、二酸化炭素の吸収、癒しや潤い、地域コミュニティの活性化など、我々の生活に様々な恵みを与えてくれている。 一方で、森林の管理不足、里地里山の荒廃、樹林や農地の減少などに伴う保水・浸透機能の低下により土砂災害や洪水のリスクが高まるなど、自然による様々な多面的機能が減少している。 都民生活の向上のために、都内外の生物多様性の恵みを持続的に利用し、自然環境が有する機能を、防災・減災などの様々な社会課題の解決に活用していく。東京産の自然の恵みの利用(供給サービス)持続可能な森づくりと木材の地産地消の推進 森林整備の担い手となる林業従事者の確保・育成や多摩産材の利用拡大を図ることなどにより、水源かん養など公益的機能を発揮する持続可能な森林循環を確立していく。また、公共施設や公共工事において率先的に多摩産材を利用するとともに、住宅整備などの機会を捉えて多摩産材をはじめとした国産木材の活用を促進していく。 多摩川上流域において、その全域を見据えた森林の育成・管理により、安定した河川流量の確保や小河内貯水池の保全、生物多様性の保全などに貢献し、豊かな自然環境を次世代に引き継いでいく。農地の保全と生物多様性に配慮した農業の推進 生産緑地の保全や市民農園など多様な目的に応じた農園の整備などにより、市街地に残された農地や農的空間の保全・活用を図るとともに、新規就農者など新たな担い手の確保・育成を促進していく。また、都内地元農産物の価値を高め、地産地消を促進していく。 化学的に合成された農薬や化学肥料の使用量を減らす環境保全型農業に取り組む生産者を支援し、生物多様性に配慮した農産物の生産を促進していく。また、民間団体等と連携し、放棄された谷戸田を復活耕作することで、水田を生きものの生息・生育環境として保全していく。持続可能な都内水産資源の管理 キンメダイなど主要魚種の資源管理を推進するため、調査・評価の充実を図るとともに、資源管理に取り組む漁業者の取組をバックアップしていく。在来魚を食べるカワウの防除や外来種の駆除、漁場環境を保全するための河川や海岸での清掃活動などの取組を推進していく。また、企業や消費者が資源や環境に配慮した水産物の選択的消費ができるよう、MELやMSCなどの水産エコラベル※1の普及を推進していく。※1 生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲・生産された水産物に対して、消費者が選択的に購入できるよう商品にラベルを表示する仕組み。日本のマリン・エコラベル・ジャパン協議会が運営する「MEL認証」や英国に本部を置くMSC(Marine Stewardship Council)が運営する「MSC認証」などがある。生物多様性の恵みを持続的に利用し、自然の機能を都民生活の向上にいかす
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